痛みのハナシ

 私たちは日常のいろいろな場面で腰痛や肩・膝・股関節の痛みなど、さまざまな痛みに遭遇します。
 でも普段だと「痛みってそもそも何?」「痛みの原因は何?」ということはあまり考えませんよね。ここではまず、痛みが何モノなのかということからお話ししていきます。

そもそも痛みとは?

 痛みについて専門的な定義として言われているのが、「実際に組織損傷が起こったか、または組織損傷の可能性があるとき、 またはそのような損傷を表す言葉によって述べられる不快な感覚および情動体験」(国際疼痛学会)というものです。

 なかなかわかりにくい文章ですが、この定義ではつまり、「痛みとはカラダが傷ついたときにも生じるし、それだけでなく精神的な面も影響しますよ」ということを言っています。
 例えば、スポーツの試合中、エキサイトした精神状態にあった場合、多少の怪我をしても痛みを全く感じないこともあります。そして試合が終わるとジンジンと痛んでしまう。この場合、 試合中にはボールを追いかけたり、相手の動きを見たりと、自分のカラダ以外の対象に集中します。そうすると怪我という情報は二の次になってしまうのです。
 つまり怪我という事実は間違いなくあっても、 それを痛みとして認識するかどうかはその時の環境・心理的状況によって大きく左右されるのです。

 また、痛みはカラダの危険信号として働きます。もしも怪我をしたときに痛みを全く感じなければ、出血していようが骨折していようが、お構いなしに動いてしまいます。そうすると、患部の治癒はなかなか得られずに、症状の悪化、障害の発生(慢性化)へと繋がってしまいます。こういったことが起こらないように、 カラダには組織の損傷を感知するセンサーがあってそれを脳に伝え、痛み(危険信号)として認識するのです。

 ただ、痛みは精神的な面も影響するということですから、必ずしも外傷などの直接的なきっかけがなくても、「不安」や「恐怖」、「苦悩」、「ストレス」などのマイナスの感情やこれらを思い起こさせるような環境から痛みが発生、持続してしまうことがあるのです。

 以上の部分をみてみると、組織損傷による痛みについてはもちろん組織の修復を目的とした治療が必要ですが、精神面を考えると、痛みを有する人の「痛みの受け止め方」や「その時の精神状態」、「環境」などを考慮して、 心地よいプラスの状況を作っていく必要があるということが言えます。

何が痛むの?

 一言で痛みといっても、その発生源は一つではありません。 簡単に言うと、

  •  1.筋肉・関節・内臓などにある痛みセンサーが刺激される(侵害受容器性疼痛)
  •  2.神経そのものに障害を受ける(神経因性疼痛)
  •  3.精神面からくる(心因性疼痛)

という3つのパターンがあります。

急性痛と慢性痛

 これまで皆さんが人生の中で経験されてきた痛みは、毎回同じような痛みだったでしょうか?必ずしもそうではないと思います。ここでは2つの痛みの状態についてお話しします。
 それは「急性痛」と「慢性痛」です。
 急性痛とは「組織損傷に対する警告」であって、組織が修復されれば消えるものを言います。つまり原因は組織の損傷です。
 一方、慢性痛は組織が修復されてもいい時期、修復してしまっている時期にも関わらず残存している痛みを言います。その原因としては、強い痛みが持続した場合や、神経自体が傷害された場合には、 痛みを脳まで伝えてくれる神経回路に「歪み」が生じ、その結果、外からの刺激がもう加わっていないにも関わらず、痛みが持続してしまうという状況が出来てしまうためです。また、これにはすでに述べた精神面との関連も強いとも言われています。したがって、画一的な治療ではなかなか治りにくいのが慢性痛のと言えます。
 急性痛はあくまで組織の損傷という問題が起こったことを知らせてくれる”警告”であるのに対し、慢性痛は痛み自体が問題となってきます。

急性痛の対処法

 急性痛は組織の損傷によって引き起こされるものですから、損傷部位では必ず炎症が起こります。この炎症には5徴候というものがあって、

  •  ・疼痛(痛み)
  •  ・腫脹もしくは浮腫(腫れ)
  •  ・発赤
  •  ・発熱
  •  ・機能障害(患部を動かすのが難しい状態)

であらわされます。ではなぜこれらが起こるのでしょう?
 痛みはカラダにアクシデントが起こったという警告の役割をします。これがなければ、ややもすれば骨折にも気付かずに、そのままカラダを動かしてしまい元通りに骨が繋がってくれないということも起こってしまいますね。
 腫れや発赤・発熱は組織を修復するために必要な活動になります。
 つまり、損傷されるとミクロの部分では細胞が破壊され、その破壊された部分の細胞はいらないものですから、掃除する必要があります。その為に、細胞のカケラを消化する酵素が活性化されます。
 そしていくつかの化学物質が、「細胞が傷ついていますよ」とカラダに合図を送って、細胞のカケラを取り除くために血流が増大して腫れたり赤くなったり、熱を持ったりします。
 ここまで見ると、「炎症ってカラダに必要なものなんだな」ということが分かると思います。そうです、大切なものなんです。

 でも、捻挫をしたら炎症を抑えるために冷やすのが常識ですよね?これでは血流が悪くなってしまうような・・・。結論から言うと、痛めた直後はやっぱり冷やす必要があります。細胞が破壊されるとそのカケラを消化する酵素が活性化されるといいましたが、 この酵素がクセ者で、破壊された細胞だけを掃除してくれればいいのですが、その周りにある正常な細胞まで破壊してしまって、更なる損傷を引き起こしてしまうのです。
 これは明らかによくありません。ではどうしたらいいのでしょう。正常な組織が破壊されるのは、この組織が酵素に影響されてしまうからなのです。つまり、「正常な組織が酵素に影響されないように」すればいいのです。
 ここでアイシングの出番になります。冷やすことによって正常な細胞の活動を低下させて(仮眠状態にする)、酵素の影響を受けない状態をつくってしまうのです。そうすれば二次的に正常な細胞が破壊されることを阻止することができるのです。

 これまでみてくると、炎症は必要な反応であり、アイシングも必要な処置であることがお分かり頂けたと思います。

痛みの悪循環

 私たちが侵害刺激を受けたときには、それを脳に伝えて痛みとして認識し、「ここで傷害が起こっているんだ」ということがわかります。これは侵害刺激をうけた部位のセンサーが働き脊髄を経由して脳まで信号が送られるのです(患部→脊髄→脳)。ただ、信号はこの経路だけをいくわけではありません。
 もう一つの経路として、「患部→脊髄→患部の筋肉」という、いわゆる「反射」として起こるものがあります。つまりこの場合、脳までは信号が行かずにまた患部の筋肉に引き返してきて、筋肉の収縮を引き起こします。
 この収縮状態が続くと筋肉の血流が悪くなり、血流が悪いところには痛みを誘発する物質が集まってきて、さらに患部の痛みを増強させます。そうすると再び「患部→脊髄→患部の筋肉」というサイクルを繰り返し・・・。
 これが痛みの悪循環です。
 本来は侵害刺激を受けた部分からの単なる信号だった痛みが、周りの筋肉までこわばらせてしまい、結果としてその筋肉自体に痛みが発生しそれを繰り返す・・・・・・怖いですね。

慢性痛と自律神経

 はじめて自律神経という言葉が出てきました。まずはこの自律神経のお話からしていきます。
 自律神経は消化・吸収・循環・呼吸・分泌・排泄および生殖作用などの調節を行っています。これらの働きは普段私たち自身が意識的に調節できるものではありません。「胃で頑張って消化しよう」とか「今日はちょっとゆっくりめに消化させよう」と思っても消化の調節はできませんよね。   そしてこの自律神経は交感神経と副交感神経に分けられます。

 交感神経は身体活動やカラダへの侵害刺激(外傷など)、恐怖などのストレスがあるときに活発に作用します。具体的には心拍数や血圧が上がったり、呼吸数が増えたり、汗をかいたり筋肉が緊張したりという状態をつくります。 これは「闘争か逃走か(fight or flight)」という言葉で表わされるように、いずれにしてもカラダを守るための必死の活動なのです。そしてこのようなときには内臓の機能は低下します。必死で戦っているときにお腹がすく必要はありませんよね。

 副交感神経は交感神経と全く逆の作用をして、カラダがリラックスした状態を作ります。心拍数や血圧は低下して、呼吸数も減り、筋肉は脱力した状態です。そしてこのときには全身が脱力している分、内臓の働きが活発になり十分な消化活動などが行われます。

 ではこの自律神経が痛みとどのように関係するのでしょうか。
 大きな傷を負った時や、「ワッ!!」と驚かされた時を思い出してください。みなさんのカラダはどのような反応をするでしょうか?心臓の「ドクドク」という鼓動を感じたり、冷や汗をかいたり、カラダの筋肉がグッと固まったりしませんでしたか?
 これが交感神経による作用です。何らかの刺激を受けた時にはカラダを守らないといけないため、交感神経が優位に働くことはとても大切なことです。しかし常に精神的なストレスや慢性的な痛みがある場合にも、交感神経が優位になってしまうのです。
 そうするとカラダはいつでも必要以上に興奮状態、そして筋肉もこわばった状態が続きますから、筋肉の血流が悪くなって痛みの発生、増強へと繋がってしまいます。

慢性痛の対処法

 先に述べたように、慢性痛では神経回路の歪みや心理学的因子や社会学的因子などの影響がみられることから、一人一人異なった障害像を呈します。
 そのため、学際的痛みセンターといって、医師、理学療法士、作業療法士、看護師、臨床心理士など多くの部門のスタッフが協働して、心理療法や運動療法などのさまざまなアプローチを慢性痛で困っている患者さんに行う専門機関も存在します。ここでは患者さんの社会的背景、生活・行動パターンなども把握した上でチームアプローチとしての治療が行われます。
 つまり、慢性痛で困っている方に対して行われる治療は、生物学的な部分(修復機序はだれでも同じ)のみではなく、心理・環境・行動(人によって全く異なるもの)も配慮したアプローチが必要となります。

 ただし、慢性痛で困っている方全員がそのような専門機関に行くというのは現実的ではありません。現在日本では学際的痛みセンターは一か所しかありません。
 ではいったい何ができるのでしょうか?
 まずは、痛みが発生しているメカニズムを、姿勢・動きの評価や、痛みの経過(その方のバックグラウンド)などから推察し、痛みの悪循環を断ち切るために適切な刺激(ストレッチなど)を入れて治療していくことです。
 すでに述べたとおり、痛みの悪循環では筋肉のこわばりが更なるこわばりを助長させますから、柔軟性の向上を図ることで痛みの悪循環を断ち切ることに繋がります。
 そしてその状態をご自身で保つことができるように、エクササイズを指導させて頂くことも大切です。徒手治療を受けて頂いてその時はカラダが楽になると思いますが、そもそも痛みの発生には姿勢・動作の影響が関与していることが多くありますから、最終的に適切な姿勢・動作を作るにはご自身で適切に筋肉を使って頂くためのエクササイズを継続していくことが必要となります。

痛みは複雑

 以上のように、痛みはとても複雑なメカニズムで起こっています。
 痛みの反射として筋肉をこわばらせ血流が悪くなる場合と、何らかのストレスによって交感神経が優位になり筋肉が緊張、血流が悪くなる場合という、ダブルパンチで筋肉の虚血(血流が乏しい状態)が起こって痛みを増強させてしまうのですね。

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