肘下がりを防ぐには?その原因と対処法

 投球において、肘下がりのフォームがいけないことはよく言われるかと思います。確かに肘下がりのフォームは野球肩や野球肘などの投球障害のリスクを高めてしまいます。
 しかし「肘が下がっているからもっと上げないと・・・。」と思っても、実際に投球するとなかなか上がらないということも多いのではないでしょうか。
 今回は特に「胸の張り」に着目しながら肘下がりを防ぐために必要なエクササイズなども解説していきたいと思います。

胸を張れないと肩や肘に負担がかかる

テイクバックにおける胸の張り

 色々なピッチャーをみていると、選手によってテイクバックの仕方が違います。

 テイクバックの重要なポイントの一つは、腕を挙げていくときに肩甲骨を背骨に寄せられるかどうかです。
 そのためには猫背にならず、胸を張ることが重要になってきます。

 腕を横から挙げる場合、胸を張ることで肩甲骨を背骨に寄せやすくなるため、上方から見た時に肩甲骨と上腕骨(二の腕の骨)のラインが比較的一直線になり、肩関節の構造上、スムーズに腕を挙げることが出来ます。(下図左)
 しかし、猫背気味で腕を挙げた場合、肩甲骨を背骨に寄せにくくなるため、上腕骨(二の腕の骨)だけを後ろに引いてしまい、肩甲骨と上腕骨のラインが一直線になりません。このポジションで腕を挙げようとすると、肩関節でぶつかりが生じるため腕はきれいに挙がらず、結果として肘下がりのフォームに繋がってしまいます。(下図右)

 皆さんもその場で胸を張って腕を横から上げた場合と、猫背で腕を横から上げた場合を比べてみるとわかりやすいと思います。

 このテイクバックがうまくいかないと、それ以降のタイミングでも肩や肘への負担が大きくなってしまうのです。

加速期について

 投球において加速期(Acceleration phase)というのはいわゆる「しなり」が起こるタイミング。下の写真のような動きが要求されます。

 この動きではどこが動いているかわかりますか?
 実は肩関節だけでなく、肩甲骨・胸椎(背骨)が連動することでこのような大きな動きが実現できるのです。
 しかし、加速期において胸の張りが起こらない場合にどうなるか。

 上の写真のようにしなりがとても小さくなってしまいます。
 本来は胸椎(背骨)・肩甲骨・肩関節でストレスを分散して行っていた動きが、胸を張れないことによって肩や肘へのストレスが大きくなってしまうのです。
 こうなるといわゆる「野球肩」や「野球肘」に繋がりやすくなってしまいます。

<良い例>
胸の張りが出ることで腕を挙げやすくなり、両肩を結んだ線上に肘がくる。肩や肘に負担が少ないフォームとなる。
<悪い例>
肘下がりの投球フォーム
胸を張れないと腕が挙がらず、結果的に肘が両肩を結んだ線よりも下がっていわゆる「肘下がり」のフォームに。

 このように、テイクバック、加速期において胸の張りが起こらないと肘下がりに繋がりやすくなります。
 次からは、胸を張れるようになるためのエクササイズをご紹介していきます。

胸を張って肘下がりにならないために

ストレッチでまずは可動域を拡げる

 「いざ胸を張ろう」と思っても、もともとの可動域がない場合はどう頑張っても張れません。
 したがって、まずは十分な可動域を獲得する必要があります。
 胸を張れない選手は、猫背になり胸の前側の筋肉が硬くなっている場合がほとんどです。
 そこで、以下のストレッチが効果的です。
※ストレッチは20~30秒は態勢をキープしてください。
※痛いほどは伸ばさず気持ちいい程度で行ってください。

①腕を真横に伸ばして胸の前のストレッチ

 仰向けの状態で腕を真横に伸ばし、同じ側の脚を反対側へクロスします。この時、クロスする脚を反対側の手(写真では右手)でしっかり固定してください。

②腕を斜め上に伸ばして胸の前のストレッチ

 ①と似た態勢ですが、こちらは腕を斜め上に挙げてください。①と違い、胸の前でもわきに近い辺りが伸びるのを意識しましょう。

③カラダの前面のストレッチ

 仰向きで両ひざを立てた状態で、背中(肩甲骨の下縁~腰の上あたり)に芯になるものを置き、両手を挙げます。胸の前~お腹の上側が伸びるのを感じながら行ってください。
※背中に置くものは低すぎるとストレッチ感が出にくく、高すぎると態勢がきつくなりますので程よくストレッチ感が出る高さのものを入れてください。また、腰の方に置いてしまうと、腰を反らすだけになってしまうため、背中寄りの方に置いてください。

肩甲骨を正しく動かすエクササイズ

 ここまでは肩甲骨や背骨の動きを制限する筋肉を伸ばしました。次は、肩甲骨・背骨を動かす筋肉を働かせるためのエクササイズです。

①腕を下げた状態での胸張り運動

 両方の肩甲骨を背骨に引き寄せます。この時に胸を前に突き出すよう意識します。20~30回。

②腕を挙げた状態での胸張り運動

 投球側の手を後頭部に当て、胸を前に突き出しながら(肩甲骨を背骨に寄せながら)肘を横から後ろに引きます。肘は耳と同じ高さをキープするよう意識してください。20~30回。
<悪い例>
手が頭から離れ、肘が耳の高さよりも下がってしまっている。

 良い動きと悪い動きを並べてみると、このようになります。

動画で動きを見てみましょう。

きれいな姿勢をとる

 実際の投球の際には、上述のエクササイズと同じように胸の張りを意識することが大切になってきます。
 もう一点、投球する際のコツを一つご紹介します。
 腕をどう動かすかという局所的な部分も大切ですが、そもそもの土台がいい状態でなければ正しい動きは出にくくなってしまいます。そこで大切になるのが姿勢です。

 具体的には、テイクバック~トップポジションの際に頭頂部を上からスーッと引っ張られるような意識をすることです。そうすることにより背すじが伸び、スムーズな肩甲骨の動きが可能となります。

まとめ

 今回は肘下がりを修正するポイントの一つとして、「胸の張り」について解説しました。
 野球肩や野球肘になる選手はこの動きが苦手な場合が多いです。
 また、投球動作は一連の動作として行われますので下半身の使い方なども影響してきますが、そちらはまた別の機会に解説したいと思います。

 小さなことでも、続ければ大きな変化に繋がります。今回解説したエクササイズを地道に継続してくださいね!

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