無酸素性作業閾値を知ってバテない走りに繋げる(自動計算フォームあり)


 今回はマラソンなどの長距離種目に重要な有酸素性能力の指標の一つであるAT(Anaerobic Threshold:無酸素性作業閾値)について解説します。
 自動計算できるフォームも準備していますので実際に走る時の目安にされてください。

1.自分のATを計算してみよう

 まず、ATの説明の前に下のフォームに年齢と安静時心拍数を入力してみてください。これが参考となるあなたのATレベルの目標心拍数で有酸素能力の一つの指標となります。(安静時心拍数は起床後の心拍数が好ましいですが今回はいま現在の1分間の心拍数(脈拍数)を測ってみてください)
脈拍の測り方:
①手のひらを上に向け手首の親指側に指をあて拍動を感じる。
②15秒間の脈拍を数えそれを4倍する。

※数字は半角で入力してください。
年齢:
安静時心拍数: 回/分

目標心拍数: 回/分

※求め方(カルボーネン法):
目標心拍数={最大心拍数(220-年齢)-安静時心拍数} × 0.75 + 安静時心拍数

 ではこの値にどんな意味があるのかについて解説します。

2.ATって何?

 短距離走(無酸素運動)はすぐにバテる。
 長距離走(有酸素運動)は長く運動を続けられる。
 これは皆さんお分かりですね。

 ではなぜ無酸素運動と有酸素運動ではバテ方が違うのでしょうか?

 無酸素運動では酸素を使わず糖を分解するなどしてエネルギーを作り出します。しかし体に蓄えられている糖などには限りがあるため、エネルギーがすぐに切れて無酸素運動を長時間続けることは出来ないのです。また、無酸素運動では糖を分解するときに乳酸がつくられて体に蓄積されます。

 しかし有酸素運動では酸素をたくさん体に取り入れながら糖だけでなく体内にたくさんある脂肪を燃焼しエネルギーをつくるため、エネルギー切れが起こりにくいのです。

 AT(無酸素性作業閾値)とは軽い運動から強度を増していった時にエネルギー供給が有酸素系から無酸素系へ切り替わるポイントを表します。

3.実際にATレベルを知るには

 実は専用の測定機器が必要です。
 ATはあくまで「有酸素運動と無酸素運動の境界点だよ~」という概念であり、その境界点の数値はVT(換気性作業閾値)やLT(乳酸性作業閾値)というものを測定します。

 運動強度を増加していった時に無酸素運動の要素が強くなり二酸化炭素の排出量(または換気量)が急激に増加し始める点がVT(換気性作業閾値)で、血中の乳酸が急激に増加し始める点がLT(乳酸性作業閾値)です。
 そしてこのVT、LTはほぼ同じ運動強度(スピード)で出現します。
 したがってAT=VTもしくはLTと捉えてよいでしょう。

4.ATをどう活用するか

 AT(LT、VT)は有酸素運動と無酸素運動の境界点です。
 ATが高まればより早いスピードでも有酸素系のエネルギーを使って走ることが出来るようになります。つまりバテにくくなるのです。
 このATを高めるためのトレーニングをATトレーニングと言いますが、ATレベルかもしくはそれより少し遅いペースでの練習によりATが高まると言われています。

トレーニングを重ねることでLTのポイントが右に寄る(より速いスピードでないと乳酸が溜まらない)

 したがって、計算式で求めた心拍数や実際に走ってつかんだATレベルの心拍数をもとに練習をされてみるといいでしょう。(心拍数の管理には心拍計が便利です)

 また、ATペース以上のスピードで走ってしまえばエネルギー切れを起こしてしまうわけですから、実際のフルマラソンではATペース以下に抑えればイーブンペースで走れるということになります。

5.より詳しく計算してみる

 冒頭で計算式を使ってATレベルを求めましたが、あくまで計算による方法ですので参考程度と捉えてください。
 冒頭では年齢と安静時心拍数のみからATレベルの心拍数を計算しましたが、ここではより詳しく計算してみたい方向けの計算フォームを準備しました。

 少し求め方を振り返ってみましょう。
 目標心拍数=(最大心拍数-安静時心拍数)× 運動強度 + 安静時心拍数

最大心拍数を知る

 最大心拍数は冒頭で(220-年齢)という公式を使いましたが、これも人によってバラつきがあるため厳密に知りたい方は最大強度の運動をした時の心拍数を測ってみましょう。

 運動生理学で有名なジャック・ダニエルズ氏は著書「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」の中で最大心拍数を求めるために“800m走を速いペースで何回か繰り返す”方法を推奨しています。
 一本走って心拍数を測定、二本目も同様に測り1本目よりも高ければ3本目を走る・・・として、心拍数が前回を上回らなければ前回の値が最大心拍数となり測定終了です。(2回目が1回目を下回れば1回目の値が最大心拍数)

ATレベルの運動強度

 冒頭の計算フォームでは運動強度を75%(0.75)としました。
 しかしこれも人によってまちまちで、ATレベルの運動強度は60~80%程度とばらつきがあります。ランニング初心者の方は60%程度、比較的トレーニングをされている方は70~80%程度の数値を入れるとよいでしょう。

 ということで詳しく設定したい方は下のフォームに入力してみましょう。
 ※最大心拍数は実測値か(220-年齢)を入力。

※数字は半角で入力してください。
年齢:
最大心拍数: 回/分
安静時心拍数: 回/分
運動強度:

目標心拍数: 回/分

 この計算でも運動強度の設定方法に幅があるなど必ずしも正確なATレベルが計算できるわけではないことを念頭に置いておきましょう。

6.ATを感覚でつかんでみる

 前述のように計算式で求めたATレベルは必ずしも正確ではありません。
 そこで実際に走っている時の感覚でATレベルをつかむのも一つの方法です。
 ATを測定する方法の一つにVT(換気性作業閾値)をご紹介しました。強度を上げていった時に換気量または二酸化炭素の排出量が増える点でしたね。
 つまりVT以上の強度で走れば換気量が増える=息が上がってくるのです。
 ペースを少しずつ上げてみて息切れが出てくるようになればそこがATレベルだとおおまかに捉えるのも一つの方法です。

7.まとめ

 体調の変化などによっても適切な強度は変化します。したがって数値は参考として捉えて、実際に走る中でどのくらいのペースだとイーブンペースで走り続けられるかを知り、そこを一つの基準に練習方法を組み立てるとよいでしょう。
 今回解説したAT以外にも記録を大きく左右する因子に最大酸素摂取量やランニングエコノミー(ランニングフォーム)などがあります。
 そちらについてはまた他のところで解説したいと思います。

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